地方監査会計技術者
◇ 英国自治体の財政局長は会計の専門家です
英国地方自治法 (Local Government Act) 第151条の規定により、英国の地方自治体では、財務管理の専門的な資格(CIPFAのCPFAなど)を有する者を財政局長(CFO:Chief Financial Officer)として配置する必要があります。資格を有しないものをCFOのポストに任命することができません。英国自治体のCFO(わが国の財政局長、あるいは、財政課長を部下に持つ県庁の総務部長に相当)は、日本の自治体の役職で言えば、財政局長/会計管理者/監査委員事務局長/内部統制推進監の諸機能をすべて一人で務める自治体職員No.2のポストです。自治体職員No.1のポストは事務総長(Chief Executive: CE)です。これらのポストには、多くのCPFAが在職しています。多くのCPFAが、英国ではCFOからCEに昇進しています。英国地方自治体では、辞令があっても資格がなければ財政局長に就任することはできません。公共の財務管理に専門性を有する人材を各所に配置することで、英国の自治体では公共財務管理の向上を目指しています。
◇ 英国NHSの大半の病院でCPFA が勤務しています
NHS (英国国民医療福祉サービス)は、英国民の医療全般を束ねる組織で、医師や看護師の90%以上が英国ではNHSに勤務しています。CIPFAのCPFAは、NHSの会計・内部統制・内部監査・財務管理の専門家として、NHSにも多数勤務しています。CIPFAはNHSの会計基準等、重要な基準や規則を策定しています。ポストCOVID19の時代に、病院経営や医療経営には会計や財務、内部統制の高度な専門的知識が求められます。下記の地方監査会計技術者の資格は、病院長や医療法人の理事長にも必須の資格と考えられます。
◇ わが国地方自治体にも公共財務管理の会計と監査の専門家を
日本の地方自治体が直面している深刻な財政状況の克服は、政府によるマクロの地方財政政策だけで解決できる問題ではありません。地方交付税や補助金をいくら増加しても、地方自治体が有効な公共財務管理(Financial Management)の体制を構築しなければ、財政悪化に歯止めをかけることは困難です。
地方自治体に有効な公共財務管理の体制を構築するには、新地方公会計改革や公共施設等の総合管理計画に加えて、緻密なコスト(原価)計算や公管理会計システムの構築、事業や施策の効率性や有効性をチェックするVFM監査(行政監査・行政評価)の実施、不正を予防する内部統制と内部監査の構築、監査委員監査の強化、基金や歳計現金の運用(資金管理)、財政状況とその対応策住民にわかり易く伝える報告システム(統合報告:Integrated Reporting)の確立などが求められます。
こうした課題に対応できる公共財務管理に専門性を有する専門人材の育成は、わが国では残念ながら、非常に遅れていると言わざるを得ません。「地方監査会計技術者」は、こうした点の人材育成に特化した活動を目的としています。
CIPFA 日本支部が認定する地方監査会計技術者(LGAAT:Local Government Audit and Accounting Technician)は、CIPFAのCPFA制度を参考に、わが国自治体や医療機関・大学・非営利組織における公共財務管理の専門家を養成する目的で創設されました(2014年7月18日)。有能な公共財務管理者には簿記/会計/監査/内部統制/資金管理等に関する専門的知識が求められます。
CIPFA日本支部は、地方監査会計技術者の制度とオンライン講義等の教育システムを通じて、公共財務管理に精通した人材の育成に取り組んでいます。
◇ 地方監査会計技術者 (CIPFA Japan) 名簿
2023年5月18日現在 → 作成中